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日本保険医学会 会長挨拶

会長就任に当たって

日本保険医学会
会長 安達 慶

第121回日本保険医学会定時総会において、皆様のご承認をいただき、品川前会長の後任として新たに会長職を拝命いたしました、第一生命の安達と申します。この場をお借りし、今後の学会運営に対する抱負を述べさせていただきます。


まず、本学会は、その前身である日本保険医協会が設立された1901年から数えて、120年以上の歴史を歩んでまいりました。この長い年月の間、多くの先人たちが熱心な活動を通じて保険医学を支えてこられました。その努力のおかげで、私たちは今日、生命保険業界において保険医学が果たす役割をさらに広げることができています。本学会は、生命保険事業に関わる医師だけでなく、アンダーライターやアクチュアリーといった多様な専門家で構成されています。近年は、医師以外の会員数が増加し、現在では医師と医師以外の会員がほぼ同数となっています。この多様なメンバーが協力し合い、生命保険事業の公平性と健全性を保つために保険医学を発展させていくことが、私たちの重要な使命であると考えております。

次に、私たちが直面している現代の課題について触れたいと思います。2020年以降、世界を襲った新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは、生命保険業界にも大きな影響を与えました。COVID-19の蔓延に伴い、保険業界全体で顧客対応や営業形態の見直しが進められ、またリモートワークの普及により、多くの会員が従来とは異なる働き方を余儀なくされたことでしょう。当学会も、2020年のWeb開催を経て、2021年以降は定時総会を現地開催とオンデマンド配信の併用に切り替え、会員の皆様の利便性向上を図っています。他の学術集会(危険選択研究会、研究講演会)も同様にオンデマンド配信主体に移行し、各種会議もリモート開催を併用するなど、新しい形での学会活動を展開しています。今後も予期せぬ災害にも対応し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な学会活動を目指してまいります。

さらに、COVID-19が生命保険業界に与えた影響は短期的なものにとどまらず、長期的な変化をもたらすことが予想されます。特に、保険契約の手続きや保険金等の支払いのデジタル化の加速はその一例です。保険業務の多くが今後機械化されることは避けられませんが、そのような状況においても、保険医学の知識と専門性は引き続き重要であると考えます。デジタルツールを活用した自動化が進んだとしても、リスク評価や新たな保険商品開発においては、医学的知見に基づく専門家の判断が求められるでしょう。したがって、保険医学会としては、このデジタル化の流れの中でも、引き続き会員の皆様が最前線で活躍できるよう、最新の知識と技術の提供を行っていく所存です。


最後になりますが、本学会は今後も、生命保険事業の適切で健全な発展を支えるために、会員の皆様と共に歩んでまいります。歴史と伝統に裏打ちされた保険医学の知見を活かしつつ、時代の変化に柔軟に対応し、新たな課題にも積極的に取り組んでまいります。今後の学会運営においても、引き続き会員の皆様のご協力を賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げます。

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